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2023/08/23/

勤怠管理における管理監督者とは?定義と勤怠管理が必要なポイントを分かりやすく解説

「管理職は残業代を支払う必要がない」ということを耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。確かに「管理監督者」については、残業手当を支給する必要がないことが労働基準法で定められています。しかし、必ずしも「管理職」=「管理監督者」となるわけではありません。
今回は、勤怠管理における管理監督者とはなにか、管理監督者の勤怠管理はどのように行うと良いかについて解説します。

「管理監督者」とは?「管理職」とは異なる?

「管理監督者」とは、労働条件や労務管理において経営者と同等の立場にある者のことを指します。管理監督者にあたるかどうかは、職務内容や権限、勤務形態、待遇などの実態が、一定の条件を満たす必要があります。管理監督者は、残業や休日、休憩に関して法律の制限を受けず、残業や休日出勤に対して手当を支給する必要はありません。

一方で、似ている用語として「管理職」があります。
「管理職」は、課長や部長など、企業内で一定の権限をもつ役職のことを指します。「管理職」にあたる役職だったとしても、実態として条件を満たしていない限りは、「管理監督者」として扱うことはできません。

管理監督者の条件としては、厚生労働省の出したパンフレット「労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために」にて下記が示されています。

1.労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務内容を有していること

企業の経営に関わる意思決定、労働条件の検討など、経営者と同等の職務内容に関わっている必要があります。例えば、経営会議や予算会議に参加していたり、管理している部門の人事評価・労働条件の検討を行っていることなどが該当します。

2.労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な責任と権限を有していること

企業の経営に関わる意思決定、労働条件の検討などに、経営者と同等の責任と権限を持っている必要があります。例えば、管理している部門の人事評価・労働条件の検討に対して決定権を持っていることなどが該当します。

3.労働時間等の規制になじまないような勤務様態であること

経営者と同等の立場にあると、経営に関わる重要な状況において、時を選ばず経営判断や対応を行う必要があります。管理監督者は、実態としてそのような業務を行う立場にある必要があります。例えば、災害やトラブル等の緊急時に、規則や企業の指示に関わらず対応を行える立場にあることなどが該当します。

4.賃金等について、その地位にふさわしい待遇がなされていることがなされていること

重要な責任や権限を有する業務内容を任されるため、定期給与や賞与、その他待遇について、一般勤務者より優遇されている必要があります。

管理監督者の勤怠管理は必要?

前述の通り、管理監督者は、残業や休日、休憩に関して法律の制限を受けず、残業や休日出勤に対して手当を支給する必要はありません。しかし、2019年の働き方改革により、管理監督者の勤怠管理についても義務化されています。
では、管理監督者の勤怠管理は一般勤務者と何が異なるのでしょうか。この章では、管理を行わない内容、管理が必要な内容をそれぞれまとめて紹介します。

勤怠管理を行わない内容

●残業

労働時間の制限がなく、1日8時間、1週40時間、1ヶ月の法定労働時間を超えて働いた場合も残業手当を支給しません。また、労働時間について制限がないため、フレックス制や変形労働制の適用対象外となります。
残業時間の管理を行わないことから、36協定の月45時間、年360時間という上限に対しても規制はありません。

●休憩

休憩時間の制限がなく、労働時間が6時間超で45分、8時間超で1時間の休憩を取得しない場合も問題ありません

●休日

休日についても制限がないため、1週1休、もしくは4週4休の管理、休日出勤の管理は行いません

●遅刻・早退

管理監督者は出退勤の時間を自由に定めることができるため、遅刻・早退の管理は行いません。遅刻・早退等による給与控除や人事評価での不利益な扱いを行うと、管理監督者の条件から外れてしまう可能性があります。

勤怠管理が必要な内容

●労働時間

労働時間の規制はないものの、管理監督者の長時間労働を防ぐため、労働安全衛生法に基づき、一般勤務者同様に労働時間を記録し、必要に応じて確認・調整できる必要があります

●深夜

残業や休日出勤の割増賃金を支払う必要はありませんが、22:00-翌5:00に勤務を行った場合の深夜割増は支給する必要があります

●年次有給休暇

年次有給休暇については、管理監督者の特例はないため、一般勤務者と同様に、法律で定められている通りに付与や取得の管理を行う必要があります。また、年5日取得義務の管理や、時間休取得上限の管理も対象となります。

●欠勤

出退勤の時間については自由を認められていますが、出勤日の出勤有無については自由に定めることはできません。そのため、出勤日に勤務しなかった場合、欠勤控除の対象として問題ありません

まとめ

「管理職」の役職であったとしても、「管理監督者」として扱うには、職務内容や権限、勤務形態、待遇などの実態が、一定の条件を満たす必要があります。
管理監督者は、残業や休日、休憩に関して規制を受けませんが、労働時間や深夜の時間数、年次有給休暇については、一般勤務者と同様に管理を行う必要があります。また、遅刻・早退の管理は行いませんが、欠勤の日数については管理を行って問題ありません。

当社のiPad向け勤怠管理アプリ「タブレット タイムレコーダー」では、集計ルールを複数設定することができるため、管理監督者用の集計ルールを設定することで、一般勤務者と区別して管理監督者の勤怠管理を行うことができます。

管理監督者の集計ルールを設定する場合は、下記のようなイメージで設定を行います。

所定:所定を指定しない
休憩:(勤務の実態に合わせて設定。法律通りである必要はない)
残業:なし
遅早退:利用しない
欠勤:利用する
   自動判定しない
休日:平日と休日を区別しない
時間数:「総時間」「深夜」を利用する
日数・回数:「出勤日数」「有休日数」「欠勤日数」を利用する

(最終更新:2023/08/23)

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