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2022/07/04/

休日とは?休暇との違いや、休日出勤の労働基準法上のルールも含めて解説

はじめに

この記事では働く人の休日について扱います。
休日が休みの日を指すことはわかっていても、それ以上のことは知らない、という人は多いのではないでしょうか。

例えば、求人情報で各企業の「年間休日日数」を見る人は多いでしょうが、いわゆる「有休」はこの日数に含まれるのでしょうか。有休は「休暇」と呼ばれますが、同じお休みの日である「休日」とは何が違うのでしょうか。
また、会社や団体によって休日の日数が違いますが、休日はどれくらいの日数が必要なのでしょうか。
休日に勤務すると休日手当がつくと聞いたことがあるかもしれませんが、どんなときにどれくらいの手当が必要なのでしょうか。

休日については、労働基準法という法律に定められています。
本記事では、労働基準法での規定を中心に、休日について解説します。

休日とは?

休日とは、業務が休みの日を指します。

いつが休日かは会社や団体の規定によって決まります。
定め方によって、事業所内の全員が同じカレンダーで休日が定まる場合や、シフト制で個人ごとに休日が異なる場合などがあります。

いずれの場合も、土日や祝日(国民の祝日)が休日である必要はありません。
土日にお客さんの多いサービス業では、土日以外の曜日を休日にすることも多いです。

なお、下記の条文にある通り、休日については必ず就業規則に定めることになっているので、自社の規定は就業規則で確認できます。

労働基準法第89条(一部)

第八十九条
常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
一 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項

「休日」と「休暇」は何が違う?

「休日」と「休暇」は何が違うのでしょうか。
どちらも、働かない日(仕事を休む権利のある日)という点では同じですが、次のような区別があります。

法律上、「休日」は初めから労働の義務がない日のことを言います。
そもそも働く日ではないため、取得する際に申請は必要ありません。給料についても基本的に無給です。
後に触れるように、最低限必要な休日日数が法律で定められています。

いっぽう「休暇」は、労働の義務があるが、それが免除されて休む日のことを言います。
年次有給休暇(いわゆる「有休」)や慶弔休暇、生理休暇が休暇の例です。
勤務者が申し出て取得するものが多いですが、計画有休など、企業側が予め取得日を定めるものもあります。また、休暇によって有給のものも無給のものもあります。
年次有給休暇のように法律で定められた休暇もあれば、会社や団体独自の休暇もあります。

したがって、上に挙げたような休暇は休日ではない以上、年間休日日数に含まれないことになります。
ちなみに、お盆休みや年末年始の休みは、就業規則上で休日の場合も休暇の場合もあります。

ただし慣行上は、「休日」や「休暇」といった表現は(「休業」や「休職」なども含めて)はっきり区別されていないケースもあります。
例えば、お盆休み・年末年始の休みは、休日として定められている場合でも「夏季休暇」「冬季休暇」などと呼ばれることがあります。

休日はどのくらい必要?

休日の日数は企業や団体ごとに様々ですが、最低限必要な日数はどのくらいなのでしょうか。

労働基準法で、最低限必要な休日日数が定められています。
それによれば、毎週1日以上または4週間を通じて4日以上の休日が必要です(下記参照)。
これは、年間で52~53日程度に当たります。

労働基準法第35条

第三十五条
使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。
2 前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。

実態としては、週に2日や月に8~9日など、ほとんどの企業で法定の最低限より多く休日を設けています。
毎週2日の休日があれば年間休日は105日程度、さらに祝日やお盆休み、年末年始の休みも加われば120日~125日程度になります。

休日のうち、上記の法律で定められている分を、とくに「法定休日」と呼びます。
毎週日曜日を法定休日とする会社や団体が多いですが、そうでなければならないわけではありません。
ちなみに、法定休日以外の休日は「法定外休日」や「所定休日」と呼ばれることがあります。

法定休日に休めないのは違法?

場合によっては、法定休日にどうしても出勤しなければならないような状況があるかもしれません。
法定休日の勤務であっても、労使協定(いわゆる36協定)が結ばれており、かつ就業規則に休日出勤の定めがあれば違法ではありません(下記条文参照)。

労働基準法第36条第1項

第三十六条
使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この条において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。

ただし、続く第37条に定められている通り、法定休日の勤務に対しては35%以上の割増賃金の支払いが必要になります。

労働基準法第37条第1項

第三十七条
使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

労働基準法第三十七条第一項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令(一部)

労働基準法第三十七条第一項の政令で定める率は、同法第三十三条又は第三十六条第一項の規定により延長した労働時間の労働については二割五分とし、これらの規定により労働させた休日の労働については三割五分とする。

上記の条件を満たすとき、企業側が業務命令として法定休日出勤を要請するならば、その要請は従業員が正当な理由なく自由に拒否できるものではありません。

休日出勤のうち、賃金割増の必要な場合とそうでない場合の違いは?

休日出勤時に35%以上の賃金の割増が必要かは、上述の通りその日が法定休日かどうかがポイントになります。
法定休日の勤務にはこの割増が必要ですが、それ以外の休日の勤務には不要です。

ただし、法定休日出勤の割増とは別に、週40時間を超える勤務には25%以上の時間外割増が必要になります(上述の労基法第37条に該当)。フルタイム勤務だと、法定休日以外の休日出勤でも25%の時間外割増は必要なことが多いです。
例えば日曜日が法定休日、土曜日が法定外休日の会社を考えます。
平日5日間(月~金)で8時間ずつ働いたとき、平日だけで40時間勤務していることになります。
さらに土曜日にも勤務した場合、法定休日出勤の割増(35%以上)は不要ですが、それとは別に週に40時間を超える分の時間外の割増(25%以上)が必要になります。

もともと法定休日だった日に勤務し、代わりに別の日を休日とした場合、法定休日出勤の割増は必要なのでしょうか。
この場合は、代わりに休んだ日を法定休日として扱えるかで変わります。
4週4休の範囲で事前に出勤日と休日を入れ替えた場合、35%以上の割増は不要です。このとき、入れ替えられた後の勤務日は「振替出勤(日)」、休日は「振替休日」と呼ばれます。
そうではない場合、後で別に休みの日を取得したとしても法定休日に勤務したことは変わらないので、35%以上の賃金の割増が必要です。このとき、後で取得された休みの日は「代休」と呼ばれます。
意識せずに使われていることも多いですが、振替休日と代休は実は別物です。

日をまたぐ勤務がある場合は?

翌日が法定休日で、夜勤などで勤務途中に24時を過ぎた場合、その分の賃金には法定休日出勤の割増が必要になるのでしょうか。
例えば、日曜日が法定休日で、土曜の夜22時から日曜7時まで働いたとき、日曜の0時~7時までの勤務には35%以上の賃金の割増が必要なのでしょうか。それとも、土曜日からの一続きの勤務としてみなせるので、35%以上の割増をする必要はないのでしょうか。

結論としては、法定休日は暦日(0時~24時)の単位で考えるのが原則です。
そのため、上の例では、日曜の0時~7時までの勤務には賃金の割増が必要になります。
(逆に言えば、法定休日の夜から翌日にかけて勤務したときは、24時以降の勤務には法定休日出勤の賃金の割増をする必要はありません)

まとめ

本記事では休日について解説しました。
休日は休暇とは違い、初めから働く必要のないお休みの日です。
そのため、とくに法定の休日に勤務する場合には、労使協定の定めや賃金の割増といった措置が必要になります。

ちなみに、当社のiPad向け勤怠管理アプリ「タブレット タイムレコーダー」では、基本的な休日の集計が可能です。
曜日ごとや個別に指定する形での休日の設定、メンバーごとの休日設定の変更、休日出勤の日数・時間数の出力などができます。
詳しくは、【集計ルール設定】平日と休日を区別するをご参照ください。

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