2021/12/17/06. 勤怠管理の運用
残業の運用方法 ー「打刻に基づく運用」と「申請に基づく運用」 ー
みなさんの職場では、残業の集計や計上に関する運用方法で悩んだり困ったりしていることはないでしょうか。
残業の運用は難しく、うまくやらないと手間がかかる上に、間違いがあると未払いや過払いなどの問題にも繋がってしまいます。
残業の運用方法には、大きく分けて「打刻に基づいてそのまま計上する方法」と「申請に基づいて残業を計上する方法」があります。 今回は残業の運用方法にお困りの方に、二つの運用をメリットとデメリットと合わせて紹介していきます。
打刻に基づいてそのまま計上する方法
従業員から残業時間を申請してもらうのではなく、打刻などに基づく記録をもとにそのまま残業時間を計上する方法です。
メリット
- 従業員にとっては申請・承認などの手間がなく、打刻をするだけでよい
- 申請漏れによる未払いの心配がない
打刻に基づくため、もちろん申請・承認といった作業は必要ありません。
従業員にとっては打刻をするだけで残業が計算されるため、効率の良い方法と言えるでしょう。
締め日までに残業を申請し忘れていたといったことがないため、未払いの心配もありません。
デメリット
- 従業員の残業時間への意識が低くなる可能性がある
- 残業時間の集計作業が大変
従業員からすると残業は自動で計上されてしまうため、今月すでに何時間残業をしているといった意識が低くなってしまう可能性があります。
36協定違反など労務管理上のリスクもあるので、自分の残業時間を把握する何らかの手段は用意すると良いでしょう。
打刻に基づいて残業を計算する必要があるため、細かな計算が発生し管理者の作業が大変になってしまいます。
運用ポイント
打刻に基づいてそのまま計上するため、打刻のタイミングが重要になってきます。
職場から出るタイミングではなく、実際に勤務を終了したタイミングで打刻すると決めるなど、勤務の実態に合わせて運用を決める必要があります。また、従業員判断による残業が多くなってしまうため、どういった場合に残業をしてよいかなどもしっかりと決めておく必要があります。
こういった運用ルールは、法律や実態に応じたものでないと、形だけのものになってしまうのでしっかりとした検討と明確な定義を行い、周知することが重要です。
打刻に基づいて残業を計上する方法の運用ポイントをメリット、デメリットも踏まえて下記にまとめました。
- いつ打刻をするかを明確にし、周知する
- どのような場合に残業をしてよいかを明確にし、周知する
- 従業員が自らの残業時間を把握できるような方法を用意する
申請に基づいて残業を計上する方法
従業員からの申請に基づいて残業時間を計算する方法です。
従業員が残業の時間数や時刻、残業の理由を申請し、それを管理者・上長が承認する運用になります。
メリット
- 残業時間への意識が高くなる
- 打刻と業務を分けて捉えられる
従業員自身で申請を行うので、自分の残業時間を把握しやすいです。
そのため、残業時間への意識が高くなり、今月は残業時間が多くなってしまいそうだから、業務調整をしようなどといった長時間労働の抑制につながります。
打刻に基づいてそのまま計上するわけではないため、打刻を勤務開始するタイミングで行う必要はありません。
例えば、職場にいた時間を把握したいが勤務前後に職場でくつろぐ人がいるといった場合でも、打刻してから勤務を開始するまでにゆっくりコーヒーを飲んだり、ニュースをチェックしたりといった運用が可能になります。
デメリット
- 申請→承認という作業が大変
- 申請、承認は締め日の数日後までに行う必要がある
- 申請漏れ、不適切な承認/否認があると未払いや過払いが起こる
従業員は残業の時間数や理由を申請する必要があり、管理者・上長はその残業が妥当であるかどうかを判断し承認する必要があります。
申請の量がそれほど多くなければ問題ありませんが、従業員が増えれば増えるほど承認の作業は大変になります。
申請・承認はもちろん締め日の数日後までに行う必要があります。
そのため、申請が締め日のギリギリになってしまうと、承認も難しくなります。いつまでに申請を行う必要があるか、承認はいつまでにする必要があるかなどをしっかり決めることが重要です。
きちんとした申請・承認の運用ができていないと未払いや過払いが起こってしまいます。しっかりとした運用ルール作りと、その周知徹底が必要になります。
運用ポイント
申請に基づく運用の場合も、打刻に基づいて運用する場合と同様に運用ルールをしっかりと固めることが重要です。
申請・承認の作業は運用ルールが明確でないと従業員の負担増だけでなく、未払いなどの問題にも繋がってしまうので注意が必要です。
申請に基づいて残業を計上する方法の運用ポイントをメリット・デメリットも踏まえて下記にまとめました。
- 申請者・承認者にどのような時が残業時間なのか基準を明確にし、周知する
- 誰が誰に申請をし、承認してもらうかを明確にし、周知する
- 申請の方法を明確にし、周知する(紙やメール、システム利用など)
- 申請するタイミング(事前なのか、事後なのか)、いつまでにするかを明確にし、周知する
最後に
ここで紹介した2つの運用方法は適切に運用すればどちらも法律上は問題ありません。
ポイントは、勤務実態に合っていることです。ただ残業時間が計算できれば良いわけではなく、勤務実績の記録または現認は厚生労働省から出されているガイドラインによって、義務付けられています。
ガイドラインの詳細は下記の記事で紹介しています。
労働時間の適正な把握方法とは?「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」の解説
なお、運用方法に関わらず、計算方法が複雑だったり対象人数が多い場合などは、勤怠管理システムの利用がおすすめです。
当社の提供しているタブレットタイムレコーダーでは、残業の自動集計が可能です。
打刻に基づいてそのまま計上する場合は、自動で残業を計上することができますし、申請に基づいて計上する場合は、タブレットタイムレコーダーで計算した時間数を参考に申請・承認をするといった運用が可能です。
最後までお読みいただきありがとうございます。
この記事が残業の運用方法にお困りの方のお役に立てば幸いです。