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2023/06/29/

勤怠管理とは?目的・流れ・方法まで勤怠管理がわかる!

1 はじめに

「勤怠管理」という言葉を耳にしたとき、どんな仕事を指すのかイメージが浮かぶでしょうか。

どんな会社にも必要な仕事というものがあり、勤怠管理はその一つです。
働いている限り多かれ少なかれ関わることになるのですが、勤怠管理とは何かよく知らないという人も多いのではないでしょうか。

この記事では勤怠管理について解説します。
初めて人事・労務に関わるようになった人を始め、勤怠管理について知りたい人が勤怠管理のイメージが掴めるようになることを意図しています。

はじめに、勤怠管理とはそもそも何なのかをざっと説明します(2節)。
その後、なぜ勤怠管理をするのか、どんな流れで行われるのか、どのような方法があるのか、どんな課題に気をつければ良いのかを順に詳しく見ていきます(3~6節)。

2 勤怠管理の意味|勤怠管理とは?

勤怠管理は、会社や組織における業務の1つです。
一言で言えば、勤怠管理とは、従業員の勤務状況(どれくらい働いているのか、どれくらい休んでいるのか)を正確に把握・管理することを言います。

把握された勤務状況は、給与計算や従業員の健康管理などに使われます。「勤怠管理」という言葉自体は法律で定義されたものではありませんが、勤怠管理の一部は法律で義務づけられています(3節で詳述)。

「誰が」「何を」「どうする」のか

勤怠管理についてもう少し詳しく、「誰が」「何を」「どうする」の3つに分けて見てみましょう。

①「誰が」:勤怠管理の主体は?

勤怠管理は通常、人事や労務(人材や労働関連についての業務)を担当する部署の仕事です。
具体的な部署名としては、人事部や総務部がこれに当たることが多いです。

ただし、直接携わってはいなくても、実は働いている人のほとんどが勤怠管理に関わっています。
働く人の多くは、たとえばタイムカードを押すといった方法で、毎日の出退勤時に打刻(時刻を記録すること)を行っているでしょう。
こうした打刻は、各人の勤務状況を記録するという勤怠管理の重要なステップの一つです。
その意味では、パートやアルバイトの人を含めて、働く人のほぼ全員が勤怠管理に関与している、と言えるでしょう。

②「何を」:「勤怠」とは何か?

「勤怠」は、働くこと(「勤」)と休むこと(「怠」)という反対の意味の二つの漢字を併せた熟語です。
勤怠管理の「勤怠」は、どれくらい働いているのか、どれくらい休んでいるのかという、従業員の勤務状況のことを指します。

もう少し具体的に見てみましょう。
「勤」に当たるのは、出勤・退勤の時刻や、勤務時間などです。
特に勤務時間については、所定(どのくらい働く予定か)と実績(実際にどのくらい働いたか)を区別して管理することもよくあります。
たとえば、シフト制の社員で、9時から14時までのシフトが組まれている日に、仕事が終わらず15時まで残業をしたとします。このとき、所定の勤務時間数は5時間、実績の勤務時間数は6時間ということになります。

「怠」に当たるのは、欠勤の日数や、遅刻・早退の回数・時間数などです。
広く取れば、休憩の時間数や、休暇・休日の日数、また勤務間インターバル(ある日の退勤から次の出勤までの休息時間)もこれに含めて考えることもできます。

勤怠管理では、上記のような時間数・日数・回数などの情報を管理します。

③「どうする」:「管理」とは何をすることか?

勤怠管理の「管理」とは、具体的に何をすることなのでしょうか。

勤怠管理のプロセスは、下記の5つのプロセスに大きく分けることができます。

  1. 準備:勤怠管理のルールや方法を決め、準備を行う
  2. 記録:各従業員が記録や申請を行う
  3. 集計:記録されたデータを集計する
  4. 活用:給与計算に反映させるなど、集計結果を活用する
  5. 保存:記録や集計結果を保存する

4節の「勤怠管理の流れ」で、さらに詳しく勤怠管理全体の流れを説明します。

人事管理・労務管理との違いは?

「勤怠管理」と近い言葉に、「人事労務管理」があります。この2つの用語はどのように違うのでしょうか。
一言で言えば、勤怠管理は、人事労務管理(とくに、労務管理)の一部を指します。

「人事労務管理」とは、会社や組織の業務のうち、「人」の管理に関わるものの総称です。
たとえば、採用や給与計算、社会保険の手続き、社内規定の整備などがこれに含まれます。
企業の業務の中には、直接利益を生むためのものと、そうではなく組織としての活動を維持するために必要なものがあります。
人事労務管理は、このうち後者の重要な一部ということになります。

人事労務管理は、さらに「人事管理」と「労務管理」の2つに大別されることもあります。
採用や配置、人事評価などは、「人事管理」に含められることが多いようです。
対して、給与計算や社会保険・福利厚生の手続き、安全衛生管理などは、「労務管理」に含められます。
やや強引にまとめれば、「人事管理」は人材を管理する業務、「労務管理」は労働環境を管理する業務、と言えるかもしれません。
ただし、会社や組織によっても少しずつ使われかたが違い、はっきりした切り分けがあるわけではありません。

勤怠管理も普通は労務管理のほうに含められるため、勤怠管理は労務管理の一部、ということになります。

3 勤怠管理の目的|勤怠管理はなぜ重要?

勤怠管理は何のためになされるのでしょうか。
主な目的として、①給与計算と②従業員の健康管理の2つを挙げることができます。

目的① 給与計算

勤怠管理をする大きな目的の一つは、適切な給与を支払うためです。
その日にどれくらい勤務したかを把握しなければ、働いたのに給与が支払われない「未払い」や、逆に働いていない分まで余計に給与が支払われる「過払い」といったトラブルを誘発してしまいます。

また、深夜時間や法定外労働時間(25%以上)、休日出勤時間(35%以上)のように、一定の条件を満たすと通常より多くの給与の支払いが必要になります。
逆に、遅刻や早退、欠勤などで勤務のなかった場合には、そのぶんの金額を元の給与から差し引く場合もあります。
こうした割増賃金や控除対象の時間数を計算するためにも、勤怠管理をしっかりと行う必要があります。

目的② 従業員の健康管理

勤怠管理のもう一つの目的は、従業員の健康を管理するためです。

従業員の勤務状況を把握していなければ、過度な長時間労働が生じていたり、心身に不調をきたして遅刻や欠勤が続いていたりする場合に気づくことができません。
逆に、勤務状況を把握することで、業務の分担を見直したり、シフト勤務の場合はシフトを調整したり、といった対策が取れるようになります。
こうした対策は、過労死や健康障害を減らし、従業員のワーク・ライフ・バランスを整えることにも繋がります。

勤怠管理は法律で義務づけられている

上記のように、勤怠管理は企業側にも従業員側にとっても重要であることから、勤怠管理については法律でいくつかのルールが定められています。
そのため、従業員を雇っている限り、規模や業種を問わず、どの会社・組織でも勤怠管理は必要です。

勤怠管理に関して何が法律で定められているのか、もう少し詳しく見てみましょう。
第一に、労働条件には最低限守らなければならない基準があります。
たとえば、休憩時間を確保できているか、法律で定められた勤務時間の上限を超えていないか、有休(正式には「年次有給休暇」)の必要な付与数や取得数を満たせているか、などが挙げられます。
企業や組織は、自社の勤務状況がこうした最低限の基準を満たしているかを把握しなければならず、把握のために必要な出退勤時刻の記録も法律で義務づけられています。

上記のような法定の条件の多くは、労働基準法(労基法)に定められています。労働基準法についての詳細は、記事「労働基準法が5分でわかる!」をご覧ください。

第二に、会社・組織は従業員の健康を守る義務があり、その一環として労働時間を把握する必要があります。
この義務は「安全配慮義務」と呼ばれ、労働契約法労働安全衛生法に定められています。
過度な長時間労働による健康被害は、労災として企業側に損害賠償責任が生じることもあります。

したがって、勤怠管理をきっちり行うことは、コンプライアンス遵守にも繋がることになります。
なお、労働基準法や労働安全衛生法で定められている労働時間ごとの規定については、記事「残業時間、上限は月何時間?労働時間の法律上の規制をまとめて解説」をご参照ください。

4 勤怠管理の流れ|実際にどんな流れで勤怠管理をするのか?

勤怠管理のプロセスは、大きく①準備、②記録、③集計、④活用、⑤保存の5つのステップに分けられます。

① 準備する

勤怠管理を始める上でまず必要になるのは、勤務や運用のルールを決め、周知することです。
打刻一つをとっても、どのタイミングで打刻をするのか、打刻漏れや打刻忘れがあった際にはどうするのか、不正打刻をどのように防止するのか、出張などで打刻できない場合はどうするのか、……といった、様々な考慮事項があります。
ルールを決める際には、自社の就業規則やその他の社内規定も鑑みる必要があります。

同時に、必要な機材の準備もしなければなりません。
たとえばタイムカードを用いる場合、全員分のタイムカードを毎月用意することになります。

② 記録する

運用が始まれば、日々の記録が始まります。

多くの場合、日々の打刻以外にも記録が必要です。
たとえば、日ごとの休憩や残業の時間、休暇の取得、出張の有無などの記録です。
こうした記録は、本人が申告する形の場合も、上長が記す形の場合もあります。

勤怠管理者は、記録が適切になされているかをチェックし、打刻忘れなどの問題があれば通知や修正をする必要があります。

③ 集計する

記録された結果をもとに、必要な時間数や日数などを集計します。
たとえば、法定外労働時間(法定の労働時間8時間を超え、割増賃金の対象となる時間)であれば、

  1. 始業時刻・終業時刻・休憩時間から各日の勤務時間を出す
  2. そこから8時間を超える部分を差し引く
  3. 日ごとの値を1か月で合計する

といった形で計算されます。

集計結果は給与計算にも利用されるため、自社の勤務のルールに沿って正確な計算をする必要があります。

④ 活用する

集計した時間数や日数などを把握・確認し、活用します。
3節で触れたように、給与計算への反映と、健康管理への活用が主な用途です。
ほかに、勤怠のデータを人事評価に反映したり、業務効率化に向けて仕事の割り振りを見直したり、予実の対比による分析を行ったり、といったような形でも活用されます。

⑤ 保管する

活用した後も、記録や集計結果を残しておく必要があります。

従業員を雇っている会社や組織は、各従業員の出勤簿を作成する義務があります。
出勤簿には一般に、勤務の日数や出勤・退勤時刻、時間外労働の時間数などが記録されます。
この出勤簿は、5年間(経過措置期間は3年間)の保存が必要です。
必ずしも紙媒体で保管する必要はなく、PDFなど電子データの形式での保存でも大丈夫です。

また、タイムカードも、利用する場合は最低5年間の保存が必要です。
詳しくは、記事「法定三帳簿(労働者名簿,賃金台帳,出勤簿)の記入事項と保存期間」を参照ください。

5 勤怠管理の方法|勤怠管理にはどんなツールがある?

勤怠管理の方法は、主に①紙、②タイムレコーダー+タイムカード、③Excelなどの表計算ソフト、④勤怠管理アプリ、⑤勤怠管理システムの5種類です。
記録、集計、活用、保管の各ステップのうち、どこまで対応するかはツールによって、また運用によってそれぞれです。

①紙(出勤簿)

出勤簿をつくり、紙面上に勤怠の記録や集計結果をまとめる方法です。

記録・集計・活用は他の方法を使うが、保管のステップだけは紙で行う、という場合もあります。

記録のステップを紙面上で行う場合、少し注意が必要です。
各人が出勤時刻や退勤時刻を出勤簿につけていく、といった方法は、不正申告のリスクがあり、厚生労働省によって求められている客観的な記録方法とは言い難い場合があります。
詳しくは記事「労働時間の適切な把握方法とは?」をご参照ください。

最も安価で導入しやすい一方で、手間もかかりがちな方法です。

②タイムレコーダー+タイムカード

出退勤時刻を記録するための機械(タイムレコーダー)と、専用の用紙(タイムカード)を用いる方法です。

記録のステップについて、客観的な記録方法が手軽でシンプルに可能です。
ベーシックなタイムレコーダーは記録の機能しか持ちませんが、タイムレコーダーによっては、簡単な集計機能がついているものもあります。

タイムレコーダーの具体的な製品については記事「タイムレコーダーの選び方」にまとまっています。
また、タイムカードについてさらに知りたい方は、記事「タイムカードのすべて」をご参照ください。

③表計算ソフト(Excel表/Googleスプレッドシートなど)

ExcelやGoogle スプレッドシート等、表を作成してデータの集計を行うソフトウェアを用いる方法です。
主に集計のステップで使われますが、記録や活用(給与計算など)も表計算ソフトで賄う場合もあります。

最初にフォーマットを決める必要がありますが、インターネット上で勤怠管理表のExcelテンプレートを公開しているサイトもあるので、自作するのではなくそうしたテンプレートを利用することも可能です。
Excelでの勤怠管理方法についての詳細は、記事「タイムカード集計をエクセルで」をご参照ください。

④勤怠管理アプリ

スマホやタブレットの勤怠管理用のアプリを用いる方法です。
タブレットなどの端末1台で複数人が利用できるものと、各人が端末1台ずつ持つ設計のものがあります。

主に記録と集計の両方のステップを賄うものが多いです。
給与ソフト・給与システムに連携することで、活用のステップに対応しているものもあります。

直感的に使いやすいものも多く、またアプリで完結しているものは手軽に始められるのがメリットです。
なお、iPadで使えるアプリについては、記事「iPadで使える勤怠管理アプリの選び方」にまとめています。

⑤勤怠管理システム

勤怠管理専用のシステムを導入し、用いる方法です。

基本的に、記録から保管まですべてのステップに対応します。
打刻の方法は、たとえばPC打刻、スマホ打刻、タイムレコーダー、ICカードやQRコード、生体認証(指紋認証や顔認証など)、チャット打刻などの選択肢の中からニーズに合わせて選択できます。

各時間数や日数を集計して給与計算ソフト・給与計算システムに繋げるだけでなく、シフト作成・管理やワークフロー(休暇等の申請・承認)、年次有給休暇(いわゆる「有休」)の管理までこなすものも多いです。
さらに、給与計算や人事、経費精算など他のシステムと一緒になっていて、バックオフィス業務を一元化できるもの(統合型)もあります。

システムによって機能や費用は様々ですので、自社に合った勤怠管理システムを選ぶことが重要です。
大きな区分としては、形態・費用体系(クラウドサービスか否か)や、対象とする人数規模で分けられています。
詳しくは、記事「タイムレコーダーの選び方」をご参照ください。

6 勤怠管理の課題|勤怠管理のどこが大変?

最後に、実際に勤怠管理をする上で課題になりがちなポイントをいくつか紹介します。

運用の定着が大変

一度ルールを決めても、それを周知して守ってもらう必要があります。
とくに、打刻の仕方にかかわるものは従業員全員に影響するので、そのぶん定着するまでが大変です。

記録・提出されたデータのチェックが大変

誤打刻や打刻漏れなど、入力の誤りや不正な申告がないかチェックする必要があります。
組織体制にもよりますが、一人の上長が多くの従業員の勤怠をチェックする場合、これも大変な作業になります。

集計作業が大変

一般に、集計作業は給与の締め日から支払い日までの期限内に行う必要があります。
計算ミスは給与の未払いや過払いといったトラブルに繋がるため、集計には正確さが求められます。
とくに手計算の場合、集計結果に間違いがないか、入念なチェックが必要です。
期限内に正確に行わなければならない集計作業は非常に手間な作業になります。

法改正や新制度への対応が大変

勤務のルールは一度決めれば終わりではなく、法改正や社会の変化に合わせて変わっていくものです。
たとえば近年では、2019年に施行された「働き方改革に関連する法改正」により、残業時間の上限や年次有給休暇の取得義務など、新たに管理しなければならない項目が増えました(この法改正について、詳しくは記事「いまさら聞けない!?働き方改革に伴う労働法改正内容の詳細解説」をご参照ください)。
また、コロナ禍に対応するためのテレワークへの導入など、社会の変化に合わせて勤怠管理のありかたも変わっていきます。

勤怠管理のツールの選択が重要

上記のような課題は、うまく勤怠管理の手法を選ぶことで解決できる場合もあります。
とくに、紙での管理からデジタル化(勤怠管理アプリや勤怠管理システムの導入)をすることで、集計や勤怠データのチェック、法改正への対応もスムーズにできる場合があります。

7 まとめ

以上、勤怠管理について見てきました。
勤怠管理はけっして派手な仕事ではありませんが、働く人の給与や健康管理に関わる重要な業務です。
大変な面も多いですが、上手くツールを選ぶことで負担を減らすことができます。

なお、iPadをお持ちの場合は、アプリ「タブレット タイムレコーダー」で手軽にペーパーレスの勤怠管理を試してみることができます。
こちらからダウンロードでき、3人まではすべての機能が無料で使えます。
記録と集計の機能を持ち、さらに給与ソフトとの連携機能によって活用を、出勤簿の出力機能によって保管をサポートしています。

(最終更新 2024/01/26 (タイトル調整))

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