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2018.10.24/

法定三帳簿(労働者名簿、賃金台帳、出勤簿)の記入事項と保存期間

法定三帳簿の一つである出勤簿

労働関係の書類の中には、法律によって作成・管理が義務付けられているものがあり、適切に整備されていない場合、処罰の対象となることもあります。
今回はそのような書類の中でも、「法定三帳簿」と呼ばれる、労働基準法107条から109条によって作成・管理が義務付けられた書類の記入事項と保存期間について説明します。

法定三帳簿とは

法定三帳簿とは、労働者名簿、賃金台帳、出勤簿のことです。労働者名簿と賃金台帳は、労働基準法第107条および108条によって作成が義務付けられています。

労働基準法第107条

(労働者名簿)
第百七条
使用者は、各事業場ごとに労働者名簿を、各労働者(日日雇い入れられる者を除く。)について調製し、労働者の氏名、生年月日、履歴その他厚生労働省令で定める事項を記入しなければならない。

 
労働基準法第108条

(賃金台帳)
第百八条
使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払いの都度遅延なく記入しなければならない。
省令で定める事項を記入しなければならない。

 
出勤簿については、この名称が労働基準法に明記されているわけではありません。しかし、一般に労働基準法施行規則第54条の内容などから、保存が必要とされています。

労働基準法施行規則第54条

第五十四条
使用者は、法第百八条の規定によつて、次に掲げる事項を労働者各人別に賃金台帳に記入しなければならない。
一 氏名
二 性別
三 賃金計算期間
四 労働日数
五 労働時間数
六 法第三十三条若しくは法第三十六条第一項の規定によつて労働時間を延長し、若しくは休日に労働させた場合又は午後十時から午前五時(厚生労働大臣が必要であると認める場合には、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時)までの間に労働させた場合には、その延長時間数、休日労働時間数及び深夜労働時間数
七 基本給、手当その他賃金の種類毎にその額
八 法第二十四条第一項の規定によつて賃金の一部を控除した場合には、その額

さらに、2017年1月20日に策定された厚生労働省の通達「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」では、後述する労働基準法第109条に基づき、出勤簿やタイムカードを保存しなければならないことが明記されました。

労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン

(5)労働時間の記録に関する書類の保存
使用者は、労働者名簿、賃金台帳のみならず、出勤簿やタイムカード等の労働
時間の記録に関する書類について、労働基準法第 109 条に基づき、3年間保存し
なければならないこと。

各帳簿の記入事項

労働者名簿は、従業員の入社時に一人一枚作成され、変更があるごとに改訂されます。賃金台帳は様式にもよりますが、一般的には各従業員につき一年一枚作成されます。出勤簿は従業員ごとに一か月一枚作成されます。
労働者名簿と賃金台帳については、厚生労働省のホームページで様式の例が公開されています

 

 
出勤簿は、タブレット タイムレコーダーでは以下の様式で出力されます。

 
各帳簿には、以下の事項を記入する必要があります。

労働者名簿
(労働基準法第107条および施行規則第53条(後述))
  • 氏名
  • 生年月日
  • 履歴
  • 性別
  • 住所
  • 従事する業務の種類(従業員が30人以上の場合)
  • 雇入の年月日
  • 退職、解雇、死亡の年月日およびその理由
賃金台帳
(労働基準法第108条および施行規則54条)
  • 氏名
  • 性別
  • 賃金の計算期間
  • 労働日数
  • 労働時間数
  • 時間外労働、休日労働、深夜労働の時間数
  • 基本給や手当の種類と、それぞれの額
  • 賃金の控除項目と、それぞれの額
出勤簿
  • 氏名
  • 出勤日
  • 出勤日ごとの始業・終業時刻、休憩時間等

 
労働基準法施行規則第53条

第五十三条
法第百七条第一項の労働者名簿(様式第十九号)に記入しなければならない事項は、同条同項に規定するもののほか、次に掲げるものとする。
一 性別
二 住所
三 従事する業務の種類
四 雇入の年月日
五 退職の年月日及びその事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)
六 死亡の年月日及びその原因

2 常時三十人未満の労働者を使用する事業においては、前項第三号に掲げる事項を記入することを要しない。

各法定帳簿の保存期間

法定三帳簿は、労働基準法第109条によって、3年間の保存が義務付けられています。

労働基準法第109条

第百九条
使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を三年間保存しなければならない。

保存期間を守らず廃棄したり紛失したりした場合、労働基準法第120条によって30万円以下の罰金を科せられる可能性があります。

労働基準法第120条

第百二十条
次の各号の一に該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一第十四条、第十五条第一項若しくは第三項、第十八条第七項、第二十二条第一項から第三項まで、第二十三条から第二十七条まで、第三十二条の二第二項(第三十二条の四第四項及び第三十二条の五第三項において準用する場合を含む。)、第三十二条の五第二項、第三十三条第一項ただし書、第三十八条の二第三項(第三十八条の三第二項において準用する場合を含む。)、第五十七条から第五十九条まで、第六十四条、第六十八条、第八十九条、第九十条第一項、第九十一条、第九十五条第一項若しくは第二項、第九十六条の二第一項、第百五条(第百条第三項において準用する場合を含む。)又は第百六条から第百九条までの規定に違反した者

法定三帳簿の保存期間はいずれも3年間ですが、帳簿によって「どの時点から3年か」という起算日が異なるので注意が必要です。保存期間の起算日は、労働基準法施行規則第56条で定められています。

労働基準法施行規則第56条

第五十六条
法第百九条の規定による記録を保存すべき期間の計算についての起算日は次のとおりとする。
一 労働者名簿については、労働者の死亡、退職又は解雇の日
二 賃金台帳については、最後の記入をした日
三 雇入れ又は退職に関する書類については、労働者の退職又は死亡の日
四 災害補償に関する書類については、災害補償を終つた日
五 賃金その他労働関係に関する重要な書類については、その完結の日

出勤簿は、5番目の「賃金その他労働関係に関する重要な書類」に該当します。また、「完結の日」は個別の出勤簿の期間における労働者の最後の出勤日のことを指します。

各帳簿とも労働法上の保存期間は3年間ですが、労働基準法第115条により退職金請求の時効が5年と定められているため、退職金の支払いに疑義が生じた場合に備えて、5年間保存することが望ましいです。

労働基準法第115条

(時効)
第百十五条
この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は二年間、この法律の規定による退職手当の請求権は五年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。

なお、賃金台帳が源泉徴収簿を兼ねる運用をしている会社もありますが、その場合は源泉徴収簿の保存期間が7年であるため、7年間の保存が必要になります。

各書類の保存期間と起算日をまとめると、以下のようになります。

帳簿 保存期間 起算日
労働者名簿 3年間 労働者の死亡、退職、解雇の日。
賃金台帳 3年間
(源泉徴収簿を兼ねる場合、法定申告期限から7年間)
最後に記入をした日。

たとえば、2018年末日に記入した賃金台帳は、2021年の末日まで保存しなければならない。

出勤簿 3年間 労働者の最後の出勤日。

たとえば、2018年11月の出勤簿でその従業員が末日まで出勤しているなら、2021年11月の末日まで保存しなければならない。

タブレット タイムレコーダーを利用した出勤簿の管理

労働者名簿や賃金台帳はそれほど量は多くなりませんが、出勤簿は毎月全員分が作成されるため、人数によっては非常に量が多くなります。たとえば従業員が20人勤務していれば、3年間で720枚も作成されることになります。このようなときは、出勤簿がデータ化できていると便利です。
タブレット タイムレコーダーでは、勤怠データが残っていれば何年でも過去にさかのぼって出勤簿を出力することができます。また、毎月出勤簿を出力してPCに保存しておくといった運用も可能です。
出勤簿の出力機能については「タブレットタイムレコーダーの機能」、操作方法については、「とりあえずやってみよう!5. 外部ストレージと連携する」もご覧ください。

 
法定三帳簿の記入事項と保存期間について解説しました。労働関係の書類の管理について調べている方のお役に立てれば幸いです。