×
ブログ

2023/08/22/

有給休暇の年5日取得義務とは?管理のポイントや対策を解説

みなさんの職場では、年次有給休暇の年5日取得の管理に悩まれていないでしょうか。2019年4月より、すべての企業で「年5日の年次有給休暇の確実な取得」が義務付けられました。今回は、年5日取得義務の内容や管理のポイントを解説した後、対策の1つとして計画年休の運用について紹介したいと思います。

有給休暇の年5日取得義務とは?

「働き方改革」の一環で2019年4月より、年次有給休暇が10日以上付与されるすべての勤務者について、付与日から1年以内に5日以上取得させることが義務付けられました。中小企業を含む全ての企業が対象で、勤務者にはパート・アルバイトも含まれます。
なお、付与が10日を超える場合でも、取得させなくていけない日数は5日です。また、この日数には、半休の取得は含まれますが、時間単位の取得は含められません。

また、同じく2019年4月より、年次有給休暇管理簿を作成して、これを5年間(当分は経過措置により3年間)保存することも義務付けられました。年次有給休暇管理簿には、年次有給休暇の基準日、付与日数、年次有給休暇を取得した日付を勤務者ごとに明記する必要があります。年次有給休暇管理簿の管理・運用のポイントについては、機会があれば別の記事で詳しく紹介します。

このように、たとえ中小企業だとしても、年次有給休暇の管理には注意が必要です。すでに毎年全員が5日以上取得できている職場では、年5日取得義務についての心配はいりませんが、そうでない場合は対策が必要になります。

以下では、年次有給休暇の年5日取得義務について具体的なケースを解説した後、対応策について紹介します。なお、年5日取得義務の対象期間や取得日数が特殊なケースについては、記事の最後に紹介しますので、さらに詳しく知りたい方は参照してみてください。

具体的なケースの紹介(基本)

当年4月1日に10日付与する場合

10日以上の年休を付与した日から1年間(当年4月1日〜翌年3月31日)に、5日取得させる必要があります。その後、翌年以降の定期付与でも同様に、1年間に5日取得させる義務が発生します。

年5日取得義務のほとんどは上記のようなケースのため、こちらを理解しておけば、基本的には問題ありません。

年5日の取得を確実に行うための対応策

年5日取得できなかった場合は、労働基準法違反となり、罰則として企業に対して罰金が課せられる可能性があります。
確実に年5日取得を行うために、以下のような対策があります。年次有給休暇管理に不安がある場合は、参考にしてみてください。

1.年次有給休暇計画表を作成して、個人ごとの年休の取得状況を把握し、管理者から勤務者へ定期的に取得を促す
2.勤務者の意見を聞いたうえで、管理者が取得のタイミングを時季指定する
3.計画年休制度を導入する

1,2では特に、管理者が、誰がどれだけ有給休暇を取得しているのかを把握して、取得を促していくことが大切です。また、業務状況の調整や、取得状況が芳しくない勤務者へのフォローアップなど、休暇の取得しやすい環境づくりも合わせて行えると良いです。
3の計画年休を導入すると、制度として確実な運用を行うことが可能です。
これらの対応策は、併用することもできます。
以下では、計画年休の運用について具体例を紹介しますので、計画年休に関心がある方は参照してみてください。

計画年休制度について

計画年休制度とは

計画年休制度とは、企業側で有休を取得する日をあらかじめ指定する制度です。制度上は、5日分の自由付与を残して、超える分については計画取得の対象とできるため、年5日の確実な取得を実現できます。制度の導入には、就業規則の規定と労使協定を結ぶ必要があります。

次の節では計画年休の運用の具体例を紹介します。

計画年休の運用方法

計画年休の運用として、具体例を2つ紹介しますので、参考にしてみてください。

カレンダーに組み込み一斉取得

年度がはじまる前の時点で、勤務者全員に対して同一の日を計画年休取得日として指定する

●メリット
 ・一斉に休むため業務の調整がしやすい
 ・事前に計画することで、年度中に取得日数や取得義務期間の管理を気にする必要がない
●デメリット
 ・定休日となり企業としての営業が止まってしまう

個人別・月別に計画取得日数を割り振る

各勤務者と事前に相談の上、どの月度に何日、計画年休を取得するかを指定する

●メリット
 ・労働者個人の都合を考慮した取得が可能
 ・営業をストップすることなく取得が可能
●デメリット
 ・毎月各勤務者ごとに計画年休取得日の管理を行う必要がある

まとめ

ここまで説明した通り、年次有給休暇が10日以上付与される全ての勤務者について、付与日から1年以内に5日取得させることが義務付けられています。対策は様々ありますが、まずは年次有給休暇の取得状況を把握・管理することが大切です。

当社のタブレット タイムレコーダーでは、計画年休を管理することはできませんが、年次有給休暇の登録ができるため、各勤務者の取得日数を月ごとに管理・出力できます。

より厳密に対応したい場合は、さらに複雑な管理ができるシステムが必要です。
当社では、「キンタイミライ(旧バイバイ タイムカード)」というクラウド勤怠管理システムを提供しております。
キンタイミライでは、
 ・年5日取得義務の対象者や取得義務期間を自動で判定
 ・期限が近づいている勤務者がいる場合、管理者にアラートを出して注意喚起
 ・計画年休制度の管理
 ・システム内での年次有給休暇の申請・承認
 ・過去5年分の年次有給休暇管理簿をシステムから出力
といった、より詳細な年次有給休暇の取得管理が可能です。

年次有給休暇管理の参考になれば幸いです。

上級編:具体的なケースの紹介(複数の付与日がある場合)

年休の付与日から1年以内に、別の付与日がある時、年休の取得義務について特殊な取り扱いをするケースがあります。

取得義務期間内に、さらに付与を行うケース(ダブルトラック)

当年4月1日の入社時に10日付与し、当年10月1日に定期付与として11日付与する場合

当年4月1日〜翌年3月31日と、当年10月1日〜翌年9月30日の両方で年5日取得させる必要があります。
ただし、このような取得義務期間が重複するようなケースでは、当年4月1日~翌年9月30日のように、取得義務期間をつなげて管理しても良いです。上記の例で期間をつなげて管理する場合、期間内で比例按分した日数である、7.5日(18ヶ月÷12ヶ月×5日)を取得させる必要があります。

付与1回分の一部を前倒しして付与を行うケース

入社6ヶ月後に付与される10日のうち5日を、当年4月1日の入社時に前倒しで付与し、残りの5日を当年10月1日に付与する場合

付与の一部を前倒しして付与する場合、合計の付与数が10日以上となったタイミングから1年で5日取得させる必要があります。上の例であれば、当年10月1日〜翌年9月30日の1年間で5日取得させる必要があります。当年4月1日〜当年9月30日については、取得義務期間には含まれません。

なお、10日に満たない当年4月1日〜当年9月30日までの期間に取得した年休の日数については、当年10月1日〜翌年9月30日の要取得日数から除きます。例えば、当年7月1日に有休を1日取得していた場合、当年10月1日〜翌年9月30日の要取得日数は4日(5日-1日)になります。

iPadでタイムレコーダー
月額0円の勤怠管理