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2023/04/28/

休暇と休日の違い、どれだけ知ってる?ポイントを絞ってわかりやすく解説!

1.はじめに:休日と休暇って同じもの?それとも違うもの?

休日」と「休暇」という言葉について、2つの言葉の違いがどこにあるか、皆さんは考えたことがあるでしょうか。

同じ「休」という漢字が用いられる言葉ではありますが、「休日」を「休暇」に置き換えることができない場合があります。

例えば「休日出勤」という言葉はありますが、「休暇出勤」という言葉はあまり聞きません。
「休暇」を「休日」に置き換えることも同様で、「介護休暇」や「生理休暇」とは言いますが、「介護休日」、「生理休日」と呼ぶことは基本的にありません。

こうして考えると、「休日」と「休暇」は明確に異なる言葉として扱われていることがわかります。
異なる言葉として扱われているということは、それぞれが持つ意味も異なっていると考えられます。一体どこに違いがあるのでしょうか。

この記事では、法律的な観点から見た休日と休暇の違いについて解説していきます。

2.休日・休暇の違い :休日と休暇では何が違うんだろう?

では休日と休暇のどこに違いがあるのでしょうか。
一言でいうと、労働義務がそもそも存在しないのが休日で、労働義務は存在しているが、免除されるのが休暇です。
休日と休暇の違いについて、詳細は次章以降で触れていきますが、ひと目で違いが分かるように表にすると、以下のようになります。

休日 休暇
労働義務 存在しない 元々は存在するが、免除される
種類 法定休日/所定休日 年次有給休暇などの法定休暇、企業が任意で定める休暇
賃金 発生しない 発生するものと発生しないものがある
取得時の労働 休日出勤が存在 休暇取得時に労働はできないため、休暇の取り下げが必要
規則 1週につき1日以上
4週につき4日以上必要
法定休暇以外は企業が任意で定める

休日は労働義務が存在せず、休暇は労働義務が免除されるということは、一体どのようなことなのでしょうか。

身近な例を挙げて考えてみましょう。
あなたは家族との約束で、毎週月曜日にゴミを出すことになりました。
「毎週月曜にゴミを出す約束」を労働契約だとすると、「ゴミを出すこと」=「労働」であると考えることができます。

火曜日や水曜日といった、月曜日以外の「ゴミを出すこと」をする必要がない日、つまり「労働」の必要がない日は、労働の義務が存在しない「休日」であると言えます。

また、月曜日だけど家族に頼んで「ゴミを出すこと」を代わりに行ってもらえた日は、「労働」の必要があったものの免除されたという点で、「休暇」であると言えます。

ここからは表で示した内容の詳細を見ていきます。まずは労働義務が存在しない日である休日について、詳しく見ていきましょう。

3.休日とは

3-1.休日の概要:土日祝が休日?

一般的に土日祝は休みである人が多いため、休日とは土日祝のことだと思ってしまいやすいですが、人によっては土日祝が休日でない人もいます。特に接客業などに従事されている方は、土日でも労働をしていることが多いかもしれません。

労働法的な観点では、休日は労働契約において「労働義務がそもそも存在しない日」のことを指しています。
土日祝が休日の人は、土日祝に労働義務が存在しない労働契約を結んでいるため、結果的に土日祝が休日となっているのです。

3-2.休日の種類と規則:1ヶ月に必要な休日の数は?

休日には法定休日所定休日という2種類が存在します。

法定休日
労働基準法にて定められている、使用者が労働者に最低限与えないといけない休日のこと

所定休日
企業が任意で定める休日のこと

法定休日のルールは労働基準法第35条によって定められています。
労働基準法第35条

第三十五条
使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも一回の休日を与えなければならない。ならない。
2 前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。

使用者は1週につき1日以上、または4週につき4日以上の休日を労働者に与えなければなりません。ここで与えられる休日が法定休日です。通常、企業は法定休日より多くの数を休日として定めていますが、それらの休日はすべて所定休日となります。

ちなみに「公休」という言葉には、はっきりとした法的な定義がないため、企業によって何を指すかは様々です。法定休日と所定休日をあわせて「公休」と呼ぶ場合もあれば、企業によっては法定休日のみ、または所定休日のみを「公休」と呼ぶこともあります。

3-3.休日出勤のルール:休日出勤は法的に問題ない?

労働者は休日に働く義務が存在しませんが、絶対に働いてはならないというわけではなく、休日に労働する「休日出勤」という考え方が存在します。

法定休日に勤務を行う際の取り決めは労働基準法第36条に記載があります。
労働基準法第36条(一部)

第三十六条
使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この条において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。

法定休日に勤務をする場合、労使協定(いわゆる36協定)の締結、かつ就業規則に休日出勤の定めが必要となります。また賃金の割増も必要となります。割増の規則については「5.休日・休暇と賃金について」にて解説します。

休日について更に詳しく知りたい方には、以下の記事もおすすめです。
休日とは?休暇との違いや、休日出勤の労働基準法上のルールも含めて解説

3-4.休日の日数と働き方の目安:年間休日で働き方はどのくらい変わる?

令和4年就労条件総合調査」によると、労働者1人あたりの年間休日数の平均は115.3 日でした。

1年=約52週であるため、週に2日の休日がある場合だと年間休日は105日前後となります。年間休日が120日の場合、週2日の休日に加えて、祝日も休日扱いとなっていることが多いです。

あくまで目安ではありますが、年間休日が120日以上の場合は、休日が多い企業であると言ってもよいかもしれません。

4.休暇とは

4-1.休暇の概要:休暇って一体何?

休日と休暇が異なるものであることは最初に解説しましたが、次は休暇がどのようなものなのかを見ていきましょう。

休暇は労働義務は存在しているが、それが免除される日のことです。
使用者は、年次有給休暇などの法定休暇を取得する権利を、労働者に付与する義務があります。

また「休業」という言葉も、労働義務は存在するが、労働が免除される日を指しています。
労働義務の有無という観点から見ると、休業は休日ではなく、休暇であると言えます。

休暇と休業の間にはっきりとした区別は存在しませんが、労働したいがやむを得ない事情によってそれができない場合、休暇という言葉よりも休業という言葉が用いられることが多いです。

例えば、使用者側の都合で会社や店を開けない場合や、労働者が怪我や病気などで労働できない場合は、休暇よりも休業という言葉がよく使われます。

4-2.休暇の種類と規則:休暇にはどんな種類があるの?

休暇には多くの種類があり、企業が任意で定める休暇も存在するので、すべての休暇のルールをここで網羅することはできませんが、法律によって規則が定められている休暇も存在します。

例えば、年次有給休暇子の看護休暇などは、法律によって付与のルールが定められた法定休暇になります。
年次有給休暇は年休有休と呼ばれることもあります。聞き馴染みのある方も多いのではないでしょうか。

今回は一例として、法定休暇の一つである年次有給休暇について見ていきましょう。

年次有給休暇を付与する条件は、労働基準法第39条により定められています。
労働基準法第39条第一項、第三項

第三十九条
使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
〔……〕
3 次に掲げる労働者(一週間の所定労働時間が厚生労働省令で定める時間以上の者を除く。)の有給休暇の日数については、前二項の規定にかかわらず、これらの規定による有給休暇の日数を基準とし、通常の労働者の一週間の所定労働日数として厚生労働省令で定める日数(第一号において「通常の労働者の週所定労働日数」という。)と当該労働者の一週間の所定労働日数又は一週間当たりの平均所定労働日数との比率を考慮して厚生労働省令で定める日数とする。
一 一週間の所定労働日数が通常の労働者の週所定労働日数に比し相当程度少ないものとして厚生労働省令で定める日数以下の労働者
二 週以外の期間によつて所定労働日数が定められている労働者については、一年間の所定労働日数が、前号の厚生労働省令で定める日数に一日を加えた日数を一週間の所定労働日数とする労働者の一年間の所定労働日数その他の事情を考慮して厚生労働省令で定める日数以下の労働者

雇用から6ヵ月継続して勤務し、全労働日の出勤率が8割以上である労働者には、使用者は10日以上の年次有給休暇を労働者に付与しなければなりません。

またパートタイム従業員は、通常の従業員に比べて労働日数や労働時間が少ないため、週の所定労働日数(もしくは年間の所定労働時間)に比例して、付与される年次有給休暇の日数を決定します。

付与の条件だけでなく、取得についてのルールも法律で定められています。
労働基準法第39条第七項

7 使用者は、第一項から第三項までの規定による有給休暇(これらの規定により使用者が与えなければならない有給休暇の日数が十労働日以上である労働者に係るものに限る。以下この項及び次項において同じ。)の日数のうち五日については、基準日(継続勤務した期間を六箇月経過日から一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日をいう。以下この項において同じ。)から一年以内の期間に、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない。ただし、第一項から第三項までの規定による有給休暇を当該有給休暇に係る基準日より前の日から与えることとしたときは、厚生労働省令で定めるところにより、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない。

年次有給休暇が10日以上付与された場合には、労働者は1年以内に5日以上の年次有給休暇を取得しなければなりません。

年次有給休暇の更に詳細なルールの解説については本記事では割愛しますが、このように法定休暇は法律の中で取得や付与のルールが定められています。

5.休日・休暇と賃金について:休日出勤すると給料はどうなる?

法定休日出勤が必ず違法になるわけではないということを、「3-3.休日出勤のルール」にて述べましたが、法定休日に労働をする際には賃金の割増が必須となります。

法定休日に勤務をした際の賃金の取り決めは、労働基準法第37条に記載があります。
労働基準法第37条第一項

第三十七条
使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

法定休日出勤は、労働者が働く義務のない日に労働することになるので、割増の賃金を支払う必要があります。

ここで注意しなければならないのが、「政令で定める以上の率」という文言です。労働基準法第37条では、「出勤労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内」という言葉がありますが、休日出勤時には割増の最低基準である1.25倍では不十分となります。

労働基準法第三十七条第一項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令

労働基準法第三十七条第一項の政令で定める率は、同法第三十三条又は第三十六条第一項の規定により延長した労働時間の労働については二割五分とし、これらの規定により労働させた休日の労働については三割五分とする。

労働基準法第三十七条第一項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令によって、休日出勤時は通常の賃金の1.35倍を支払う必要があります。

休暇については有給のものと無給のものがあります。休暇は労働の義務を免除している日であるため、給料が出るかどうかは、取得した休暇のルールに応じて変化します。
(年次有給休暇は給料が発生しますが、会社が独自に定めている休暇は、その会社が定めるルールによって給料が発生するかが決まります。)

6.まとめ

休日と休暇という似ている2つの言葉ですが、法律的な観点では大きな違いがあります。
それぞれ異なる規定に基づくものなので、混同しないように注意しましょう。

ちなみに、当社のiPad向け勤怠管理アプリ「タブレット タイムレコーダー」では、休日出勤の回数・時間の集計や、休暇を何回取得したかの管理が可能です。

設定方法については「【集計ルール設定】平日と休日を区別する 」「【集計ルール設定】休暇を利用する」をご参照ください。

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(最終更新:2023/04/28)

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