2018/04/30/10. タブレット タイムレコーダーの開発
意外に大変?吹き出し機能 開発のウラ側
タブレット タイムレコーダー v1.7.2では、ダッシュボードに吹き出しを表示する機能が追加されました。吹き出しには、勤務状況に応じたメッセージが表示されます。
一見シンプルな機能ですが、作ってみると意外に考慮すべき点が多く、完成までに紆余曲折がありました。今回は、吹き出し機能が開発された舞台裏を紹介します。
最初は「おせっかい」な機能だった
開発の初期段階では、吹き出しには多種多様なメッセージを出す予定でした。たとえば、
「先月に比べて時間が増えています。休息を取ることを意識しましょう!」
「先月よりもプライベートの時間が増えているみたいです!プライベートを充実させることでモチベーションを高めましょう!」
といったアドバイスの実装も検討していました。親しげな言葉遣いのメッセージを表示することで、「まるでその場に専属のコンサルタントがいて、親身にアドバイスしてくれているようだ!」と言われるのを期待して開発しました。
しかし、社内で運用してみると、助言はむしろおせっかいに感じる人が多かったです。また、メッセージに納得感が得られないと、不快に感じられる場合もありました。
そこで方針を転換し、記録された時間情報を活かしたタイムレコーダーならではのメッセージのみを表示することにしました。そして今回は、助言や説明を加えず、事実だけを伝える仕様になりました。
吹き出しは多いほうがいい?
上記の調整をした後も、今よりもずっと多くの吹き出しを表示するようにしていました。やはり「せっかく開発した機能なので、いろいろな場面で表示させたい!」という思いがありました。しかし、実際に社内で試してみると、
- わずかな変化でやたらと吹き出しがでてくる
- 何回も同じメッセージが出てくる
といった声があがりました。
本来、吹き出し機能は利用者に「気づき」を与えるために開発されましたが、頻度が高すぎると、吹き出しに利用者が慣れてしまい、メッセージが見過ごされてしまうのです。ここで初めて、当初の思いとは裏腹に「むしろ、出す頻度は少ない方が効果的だ」と我々が気づかされました。
結局、
- 小さな変化は通知の対象としない
- 同一メッセージは一定期間表示しない
といったロジックを組み、メッセージが見過ごされないように工夫しました。
対象が勤務者とは限らない
「タイムレコーダー」というと、会社で従業員が出退勤を記録するためのものだと思われるかもしれません。しかし、実は「タブレット タイムレコーダー」の利用者は、会社の従業員だけとは限りません。例として、学習塾で塾生の出欠確認や、保護者へのメール送信に利用されているケースも存在します。
そのため、「最近、勤務就業時間が長くなっています」といった従業員であることを前提としたメッセージは適切ではありません。開発段階では「こんな気づきを得てほしい」というメッセージを多く考えたものの、特定の利用者には全く不要になってしまうので使えない、というケースが多く、悪戦苦闘しました。
最終的に、「勤務時間」は単に「時間」と表現したり、v1.7.2ではメッセージの種類を大幅に削ったりして、現在の仕様になりました。
「毎日わたしが最後」問題
今回実装されたメッセージの1つに、「〇〇さんが本日の最後です」というものがあります。その日の最後のOUT打刻者に表示されるものです。エアコンの消し忘れや鍵のかけ忘れの確認をうながす狙いがあり、「これこそ、タイムレコーダーにしかできない画期的な機能だ!」と確信して開発してきました。
ところが、これまた使ってみると、問題が判明しました。テスト運用する現場の中に、メンバーが2人のオフィスがありました。ここでは「自分が最後かどうか」なんて分かりきっているにも関わらず、毎日毎日「あなたが最後です」と吹き出しが出てしまい、「違和感がある」と言われました。
このフィードバックを受けて、この通知は30人以上の有効メンバーがいる場合にのみ表示する仕様になりました。
おわりに
以上、吹き出し機能の開発の裏側の紹介でした。小さな機能ですが、今に至るまでに様々な課題に遭遇し、工夫が積み重ねられてきたことが伝われば幸いです。
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(記事最終更新:2023/3/27 一部改訂)