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2022/03/30/

休憩時間とは?法律上の規定や注意点を解説

はじめに

働いていると、特に疑問を持つことなく会社から指示された時間に休憩を取っている、という方も多いでしょう。
普段はあまり意識することがないかもしれませんが、休憩時間については法律にルールが定められています。

そもそも休憩とは何か、なぜ必要なのか。労働時間とはどう区別すべきなのか。いつ、どのくらい取るべきものなのか。
当たり前のようで意外と知らない休憩時間について、法律で定められたルールを中心に解説します。

そもそも休憩時間とは?

休憩時間とは、労働を中断して、休息をとるための時間のことです。
法律上の「休憩時間」は、雇用者の指揮命令下で企業のために働く「労働時間」と対になる言葉です。
休憩時間には労働していないため、普通は給料が発生しません。

なぜ休憩が必要なのか?

労働者は休憩中に疲れを癒やしリフレッシュすることができます。
休憩の目的は、これによって作業能率を向上させたり、労働者が健康を維持したりすることにあります。
適度に休憩を取ることは、労災の防止にも繋がります。

こうした目的のもと、法律(労働基準法)で休憩時間を設けることが雇用者に対する義務として定められています(下でより詳しく見ていきます)。
逆に言えば、休憩を取ることは労働者の権利であるということになります。

休憩時間と労働時間の線引きは?

休憩時間と労働時間の線引きは、意外と判断に迷う場合もあります。
たとえば、指示を待って何もしていない時間(いわゆる待機時間・手待ち時間)や、電話番をしている時間、宿直中に仮眠を取っている時間は休憩時間とみなして良いのでしょうか。
また、着替えや移動は、休憩時間内に行うべきなのでしょうか、それとも労働時間中に行うべきなのでしょうか。

労働基準法には、休憩時間は従業員が自由に利用できるものだ、という原則が定められています。この原則は、一般に「自由利用の原則」と呼ばれています。

労働基準法第34条第3項

3 使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない。

この原則に基づけば、休憩時間かどうかのポイントは、監督者の指示を離れていて従業員が自由に使える時間か、という点にあります。
たとえば、電話番をしていてその場を離れられないならば、たとえその間に何もしていなくても休憩時間とは言えないことになります。

法律で必要な休憩時間はどのくらい?

労働基準法では、休憩の最低時間数が定められています。
それによれば、労働時間が6時間超・8時間以下のときには45分、8時間超のときには1時間の休憩が義務づけられています。
(「超」なので、労働時間が6時間ちょうどの場合には休憩なしでも違法ではありません。8時間ちょうどの場合は45分の義務があることになります)

労働基準法第34条第1項

使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

あくまで「最低」時間数なので、それぞれの会社で最低時間数以上の休憩時間が定められていることはまったく問題ありません。

ポイントは、必要な休憩時間が労働時間のみによって決まることです。雇用形態は関係がないため、正社員だけではなく契約社員やアルバイト、パートの人でも、上記の最低時間数で休憩を取得できていなければなりません。

まとめると、各労働時間に対して法律上義務付けられている休憩時間は以下のようになります。

労働時間 必要な休憩時間
5時間勤務 なし
6時間勤務 なし
6.5時間勤務 なし
7時間勤務 45分
7.5時間勤務 45分
8時間勤務 45分
8.5時間勤務 1時間
9時間勤務 1時間

法律上、休憩はいつ取ればよいか?

上記の条文には、休憩時間を労働時間の「途中に」与えなければならない、という文言があります。
業務開始の直後や終了の直前に休憩時間を取得するのは適切ではなく、業務の途中になければならないことになります。この原則は、「途中付与の原則」と呼ばれています。

労働時間の途中で、最低時間数を満たしていればいつでも良いため、企業によって休憩時間は違います。
労働時間が7時間のとき、45分の休憩を昼に30分、夕方に15分というふうに分けて取るというように、休憩時間を分割するルールになっていても問題ありません。

また、同じ事業所の従業員全員が同時に取得する、というのが原則です。この原則は「一斉付与の原則」と呼ばれています。
ただし、お客さんや電話への対応のために、全員が同時に取得するのは難しい場合も少なくありません。そのため、一斉付与の原則には例外があり、労使協定が締結されていれば人によって違う時間に取得していても問題ありません。

労働基準法第34条第2項

2 前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。

さらに、下の条文にあるような一部のサービス業では、一斉付与の原則がはじめから除外されているため、労使協定の締結も必要ありません。

労働基準法施行規則第31条

法別表第一第四号、第八号、第九号、第十号、第十一号、第十三号及び第十四号に掲げる事業並びに官公署の事業(同表に掲げる事業を除く。)については、法第三十四条第二項の規定は、適用しない。

労働基準法別表第1(関係項目のみを抜粋)

四 道路、鉄道、軌道、索道、船舶又は航空機による旅客又は貨物の運送の事業
八 物品の販売、配給、保管若しくは賃貸又は理容の事業
九 金融、保険、媒介、周旋、集金、案内又は広告の事業
十 映画の製作又は映写、演劇その他興行の事業
十一 郵便、信書便又は電気通信の事業
十三 病者又は虚弱者の治療、看護その他保健衛生の事業

休憩時間は就業規則に明記する必要がある

休憩時間は就業規則に必ず記載が必要な項目(いわゆる「絶対的必要記載事項」)の一つです。そのため、就業規則が定められている場合、自社の休憩時間の規定は就業規則で確認できます。

労働基準法第89条(一部)

第八十九条
常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
一 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項

就業規則については、厚生労働省が「モデル就業規則」として就業規則のテンプレート(記載例)と解説を載せています。併せてご参照ください。

まとめ

当記事では休憩時間について解説しました。

労働基準法には、労働時間ごとに必要な休憩時間数が定められています。
さらに、途中付与、一斉付与、自由利用の原則という3つの原則も定められています(これらの原則は「休憩の3原則」と呼ばれています)。
これらの点が、休憩時間についての法律上のルールということになります。

ちなみに、当社のiPad向け勤怠管理アプリ「タブレット タイムレコーダー」では、拘束時間ごとに休憩時間を自動計算できます。詳しくは、「【集計ルール設定】休憩時間を自動計算する(時間帯/時間数)」を参照ください。
さらに、休憩時間の自動計算のルールが人ごとに変わるような設定も可能です。「【集計ルール設定】メンバー別に所定、休憩、残業を設定する」をご参照ください。


(記事最終更新:2024/04/04(一部追加))

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